「不登校」と言われるよりも「不良」と呼ばれたかったあの頃

先日、「ゲーセンは不良の溜まり場」と言われて育ち、といったような主旨のことを書いたが、一応補足しておきたいことがある。

地方は未だにそうだ。

内訳としては走り屋が特に目に付き、これは恐らく元不良の受け皿になっている趣味人層であり、なおかつ地方のゲーセンは駐車場が広いことなどが影響していると思われる。

さて、私が初めて上京したときに驚いたものの中に、ゲーセンの活況がある。人が鮨詰めになっているゲーセンなんて、それまで見たことが無かった。一応の記憶として、名古屋の繁華街でのゲーセンの賑わいがあるが、都市部で一括りにしてしまって良いとは思う。

アーケードゲームについての経験値なるものがあるとするなら、地方人と都市部の人間とで、明かな差が出ると思われる。というのも、ゲーセンは遊び場であっても、それ自体は玩具ではないからで、買って手に入るものではない。ファミコンに代表される家庭用ゲームの普及とは一緒に扱えない。

まあ、そういったことについて偏見を交えて語るのはがっぷ獅子丸先生とかに任せるとして(笑)、個人的にゲーセンといえば、中学生当時、どうしても伊○園の自販機に入っているジュースが飲みたいと思って店内奥に設置されている自販機に買いに行ったら見事に不良三名に絡まれ、買ったばかりのジュースを一人の不良の顔面に投げ付けて逃げた思い出があるが、まあ失明とかしていないことを今更のように願う。私の喧嘩にまつわる思い出は大半が「一発カマして逃げる」ばかりで、我ながらわかりやすい。しかし本気の喧嘩なんて、立派な不良(?)でも学生時代を通して二度できるかどうかだと思われる。

それにしても、先に挙げたような郊外出店型のゲーセンの大半は今や廃業もしくは撤退の危機に瀕しており、その郊外型ゲーセンが進出したときには「僕らの町のゲームセンター」の類は壊滅している。これからを考えるとなかなか興味深いものがある。

クラブなども無い地方でゲーセンが駆逐されたら、あのどこか抜けた、愛嬌のある不良達はどこで育つのだろうか。引き籠もっただけで満足するのだろうか。鍋パーティ鍋パーティと室内ではしゃぐのが全てになるのだろうか。あるいは学校で暴れるのだろうか。携帯が場の全てに置き換わっている感すらあるが、そこら辺については今の学生さんらが大人になって、こういう変な文章を書くようになるまで待つ。

ゲーム自体の話に移ろう。

私の世代(昭和50年代後期生)でアーケードゲームといえば、バーチャファイターバーチャロンの二大SEGA筐体がどうしても外せない。また、ストリートファイターやKOFのシリーズ展開の中だるみを経験した後でギルティギアXで格闘ゲームがまた賑やかになっていった流れの全てを学生時代中に経験していて、しかし同時にゲーセン以外でのゲーム文化の激流(プレイステーションなどの最初期次世代ハードと呼ばれたもの)にこそ触れており、見捨てようと思えば簡単にアーケードを見捨て、家に帰る、どこかリベラルな世代といえる。

ゲーム人口自体は、他の世代よりも絶対数が多いと思われる。社会に出てゲームと決別するかしないかの時期が、ちょうどニンテンドーDSの勃興からWiiなどが登場してくる時期と被っている点も忘れてはならないように思う。パソコンの一般への普及も影響大か?

流れをまとめると、以下のようになる。極力他の方々から聞いたケースなどを考慮に入れてはいるが、私が当時それを受けてどう思ったかを念頭に置いているため、多少の偏見は入っていることに留意されたい。

  • 生まれた頃にはファミコンが出ている(物心ついたときには家庭用ゲーム市場が一定規模、確立されている)。
  • 小学生になった頃にスーパーファミコンが登場。一方、PTAや地域の保護者の活動が積極的になり始める(不登校やいじめの問題がクローズアップされる社会背景)。メガドライブ他。
  • バブル崩壊。大人の権威が失墜したとも言われるが、社会的立場がなくなってから初めて家庭に目を向けて、それに気付いただけの場合が多かったと、その手の本では指摘されている。親の個性に対する尊敬と、育ててもらった感謝とは、まったく別物であるのかもしれない。
  • スト2以外の格闘ゲーム」代表として、サムライスピリッツやキングオブファイターズがゲームセンターに登場。根強いファンを獲得する。こうした下地があった上で……。
  • 中学校入学前後、バーチャファイターがゲームセンターに登場。次世代家庭用ゲーム機競争への社会的関心もあり、急速にゲーム市場が拡大する。続いてバーチャロンブームも到来。家庭用ゲーム機に限定すれば、しばらく後にメタルギアソリッドやギャルゲーといった、今では当たり前のコンセプトのゲームが続々登場。
  • 高校入学。ここに来てまた新たな次世代家庭用ゲーム機競争が起こる。しかしこの時点で「玩具からゲーム機へ」の業界のスタンスは確定しており、値段も以前より高額化。高校生にとっては中途半端な存在となる。ここら辺、妙にレトロゲームに傾倒したのが増えたのと無関係ではないような実感がある。「あのスーファミのソフト面白かったなあ」「え、俺それやってねえな」「あそこの中古屋にあったよ」「じゃあ帰りに一緒に行くか」とかいう会話がよくあった。
  • あまり影響は無かったように思えるが、ニンテンドーパワーのサービスもこの頃がピーク。大々的にサービス展開をしていた場合、どうなっていただろう。どうでもいい話になるが、私はこのときに書き換えたタクティクスオウガのソフトをバッテリーが大変に長持ちするという理由で、大事に取ってある。
  • 一方、アーケードにギルティギアXが登場。異常な速度でXX及び青リロが登場していったことを考えると、大成功なのは間違いない。アンチの多さも材料の一つ。
  • 前後して、Windowsの成功からしばらく後、家庭にもパソコンが普及し始める。ADSLなどの安価な回線サービスもそれに拍車をかける。市場主導というより市場追認型の施策がこの頃から顕著になっている。ISDNなどの専用回線の整備が蔑ろにされ、後に災害時などの断線、将来的な回線リソース不足という事態を招く。光ケーブルが普及し始めた現在でも、それは変わっていない。
  • 結果、パソコンの高性能化、低価格化により、素人でもゲーム開発環境が整えられ、インターネットでの開発進行、発表、同人市場へと、パソコンの果たした役割はここでも大きい。
  • 成人。PSPやDSによって、携帯ゲーム機市場が拡大。というより、一度ゲームボーイなどで掘られた部分から石油が出た具合である。これにインターネット(厳密には通信というべきか)の名を冠したエンジンが用意され、爆走することとなる。

そして伝説は始まった……!

お約束もやったところで元に戻しますが、やはり2000年前後の動きが特に激しい。比較的最近のことで覚えが良いという以上に、ゲームの周辺が立体的になっているのがわかりますね。あ、別にセガタワー的な意味じゃありませんからね。大丈夫! 私はセガ信者じゃないよ! がっぷ獅子丸先生他のファンなだけさ! ゲーム批評も買い続けてたよ! 

はい、さりげなく今回の記事を書くことになった背景の暴露もしたところで、そろそろ締めます。

生き馬の目も悪くなるゲーム業界の趨勢、いかがお考えで?