ギュウニューウ Loves you yeah

この身体のだるさの原因は何か。わかりきったことだ。

朝、牛乳を飲み忘れた。

自慢じゃないが、私は牛乳が無いと生きていけない。朝に目が覚めたら牛乳を飲み、朝飯を食い、そして珈琲を飲んで頭をきりりとさせたら、また牛乳を飲んで、一日が始まる。

日中は飲んでいる暇も機会も無いが、夜は大事だ。ここでうっかり牛乳を飲まずに寝ようものなら、朝には牛乳を飲む元気が出ない。

こうした日々のことを考えると、一日平均で一リットルは飲んでいる計算になる。

ついさっき牛乳を飲んで大分改善されたが、この暑い中で牛乳を摂取しないままでいるのは自殺行為に等しかった。カルシウムがどうたらとか、そういう成分が不足したとかいう問題ではない。牛乳が足りてないのである。ハイオク車にレギュラーを入れても仕方ないのだ。

では牛乳そのものにこだわりがあるかというと、無い。全く無い。無脂肪でなければ良いかなあ、程度だ。無脂肪のものはすべすべしていて、飲んだ気がしない。

思うに、牛乳を好きになるかならないかの差異は、学校でからかわれたかどうかで決まる。飲むと腹が痛くなるとか、そういう体質的な問題は、この際置いておく。そこいくと私は小学校なんて登校拒否が大半だったものだから、からかわれる以前だったわけだ。

つまり牛乳とはアウトロウの飲み物なのだ。今決めた。アウトロウという響き自体、臭くて良い。牛乳を含んだ雑巾の臭いがしそうだ。

私の人生は牛乳によって証明され、牛乳によって導かれるのだ。シナイ山の麓で牛の彫像をぶっ壊したモーセなんぞ、十戒の石版を奪って殴り倒せる気がしてくる。バアルのようなものを振り下ろすのもOKだろう。まあ、当時はまだ牛乳は無く、山羊の乳だったはずなのだが。

そういえば最初に牛乳を……というか動物の乳だが、それを飲んだ奴は何を考えていたのか。いや、言うまでもなかろう。美味そうに見えたんだ。理屈じゃないのである。乳房状のものから出る液体が美味いなんてことは、本能にすりこまれているからだ。授乳行為は人間が二足歩行になった現在でも変わらないぐらいだ。よっぽどである。

考えてもみて欲しい。別の動物から出た乳を、例えそれが母親だろうと、飲むなんていうのは、似非インテリと化した中世以降の人間ならとっとと放棄しそうな行為だ。真偽はともかく、貴族には母親自身が乳を遣る行為をタブー視していた文化もあったそうな。ここから乳母という仕事が発生したというわけだ。まあ、実際はあいつら近親結婚だったり満足な栄養が摂れていなかったりで乳が出ないもんだから、それっぽく誤魔化しただけなんだろう。身も蓋もない。まあ乳に蓋は無いのであるが。

これ以上語ると私の口が塞がれかねない。素直に、牛乳を飲みたい。

鼻から牛乳

鼻から牛乳