旧高田市(現上越市高田)のある頸城平野を春日山や正禅寺の方角、西から見下ろすと、目が眩む時期がある。それは大体、今頃から秋口にかけて。稲穂が黄金に変わっていくときに当たる。

残暑に、雨雲の底が抜ける。それが前触れに当たる。それからは台風が来た場合を除き、稲作のためだけに天気が移っているように思えてくるほどの状態に、恵まれる。

今日がその日に当たったらしい。朝は冷え、昼に雨が降り、風が止まり、夕にとうとう底が抜けた。時期は多少前後するが、順序には毎年、狂いが無い。白光が注ぎ、空の青が水田に溶ける。

この土地には確かに、目が眩むだけの価値がある。