魚のこと

柚子桃さんとかに変なこと吹き込んであじゃぱっとる昨今でありますが、実は当家に慶事の予定が立ちつつあり、活動は縮小かつ集中傾向。まあ実際変なことするのは騙されたりしない限りは大丈夫です。もう騙されていたりするのはやりますが(笑)。

まあ今だから言いますが、合同に関してはそるあーすさんと固形さん、編集担当の美鈴さんの良くする所が大であり、私はいつも通りにしていただけにも関わらず打ち上げでおっぱいおっぱい叫ぶ人に大笑いしたりするという大変御大臣な身分でいられ、感謝しております。ええ。

んまー、あのときの前後で変わったことというと、数少ないF.S.S.愛好家として柚子桃さんと固形さんを見出せた点であり、んまあ自分が暴走せんように気を遣いたいところです。きっと実際はあんまり遣えてないんだろうなあ。固形さんについては他にSFの話などでも刺激させてもらったりしており、頭が上がりません。でも俺は手なら上げるんだぜ! やめてあなた! とかそういうノリで話せる相手は貴重です。私を隔離施設にでも預けた方が世の中の方としては手っ取り早い気がしないでもありません。

この話の落とし所は「んもー、F.S.S.好きって変人多いんだからー」であります。

しかし、上越市もとい新潟県は変人が多い論は私がかなり小さい頃から頭に抱いていたりします。変人自体は全国的におるのでしょうが、変人が当たり前のように闊歩している県や都市は少ないのではないか。まあそういう真面目な統計は、そもそもからして変人の認定基準から、学のある方に任せたい。ああ、そんなことするその人も変人なんだろうな。

私が入院していた当時、同室になっていたおっちゃんは鉄を溶かす、まあ鉄工業でまとめた方が早い業種の方で、作業中に高熱を吸い込むために今になって肺が弱り、定期的に入院しておるそうな。

このおっちゃん、釣りの話になった途端に元気になるという、釣り好きだけは昔から趣味人の中でも別格扱いされるだけあり、その元気っぷりも尋常ではありませんでした。ちなみに私の母方の叔父も釣り好きですが、鮎釣りが解禁されれば岩を飛び、クロダイのために波飛沫を浴びる、そんな人であります。「あれでも近頃は落ち着いて、川釣りしかしてない」とは母や親戚の弁ですが、早朝暗い内から越中越前の山中に釣りに行く人が落ち着いているとは思えません。

さて、先日も書いた通り私は入院中、小説ばかりを読んでいたのですが、どうもこの病室、年齢層が高く(私だけ二〇代、あと全員が五十以上)、会話が弾まない。何かこうオリンピックや甲子園といった、世界規模、日本規模でのイベントでもテレビでやっている状態ならともかく、話題も無い。そんなときにうっかり魚の話になると、もう釣りの話しかできなくなります。

私も友人に連れられて釣りに行くことがたまーにあり、というか一人じゃ話し相手がいないからとかいう理由なのですが、まあ私も魚を見るのは好きなので、それなりに知識はあるわけです。いや、むしろ釣り好きの相手に慣れていると言う方が正しいのか。

余人のために釣り好きの相手の仕方を書いておくと、先ず、魚の名前と釣れる時期を把握しているだけで全然違います。これで「ああ、あそこの港の辺りはアジが取れるんでしたっけ」とか、聞きかじった程度でもいいから地元ポイントの知識もカバーしていれば、居酒屋で席を共にできる程度には付き合うことが可能になります。そして何より大事なのが、魚の食い方です。人間、やっぱり飯の食い方が盛り上がるのです。ソースか醤油かで目玉焼きの化粧について喧嘩するのも結構なことなのです。

そんなこんなの経験を活かして病室のおっちゃんとの会話を乗り切ること数度。呼吸器の病気は生活から来るのだなあ、という仕事人らしい感慨なども耳にしつつ、私は桜が散る頃には退院でき、例大祭でサークルスペースの前をうーろうろうーろうろして、荷物を人にぶつけて申し訳ない思いをしたのであります。

ところでそろそろ、新巻鮭のシーズンですが……うあ、想像しただけで口の中に塩味が。

北越雪譜の字書の項(和名類聚抄、下学集、節用集、書言字考他について)によれば、シャケという字は、魚の部首につくりが主の、鮭というものの他に、つくりが『生』、『厥』の二つがあり、更に単語では石桂魚、水豚の二つがあるとのこと。全て読みはシャケです。これは雪譜に書かれていませんが、新巻鮭は新潟では年越し年明けの頃に欠かせないものの一つでもあります。

ついでなので紹介しておきますが、長野電波研究所にて北越雪譜の電子テキスト化が進んでおりますので、これからはネットなどでも気軽に紹介することが可能になっていくようです。