俺「花見行こうぜ!」

K「人がいるからヤダ」

当たり前だろ……!

かといってKは近所に住んでいる、これ以外の奴を誘おうとすると、駐車場所やら何やらで、日曜日の午後からやるにしては煩雑になってしまう。私の花見は「ちょっと様子見に行こうぜ」程度で、その程度ですらヤダと言い切るKの孤高っぷりに感動したら良いのか呆れたら良いのか。

俺「じゃあ……山だ! 春日山の山桜だ!」

K「いや、人いるだろ」

俺「いるけど高田公園ほどじゃねえだろ」

K「まあねえ」

とまあ強引にねじこんで、春日山へ。十分もしない内に到着。観光バスやら家族連れの車やらで混んではいましたが、高田公園みたいに交通規制されているわけでもなく(山だから)、実に好ましい状況でした。

とりあえず春日山神社に参拝を終える。

俺「おーし、天上だ、天上に桜だ! 山桜だ!!」

K「いや、そこら辺に既に咲いてるのがあるんだが」

俺「(聞いてない)」

観光客を空堀に突き落としたりしないように注意しながら、天上へ。

そして、これがその山桜だ!

俺・K「咲いてねえ……!」

まあ、そういうもんです。っていうか普通、山桜ってのは五月頃のもんです。しかしこの天上の山桜は他の所のものより白さが際立っていて、格別のもの。残念がっていると、Kが一言。

K「まあそんなこったろうと思っていたんだが、散歩だと思えばOKだろ」

……え? そういう寛容さがあるならなんでもっと早くそれ発揮しなかったの?

ぎゃあぎゃあ言い合いながら山を降った、男二人であった。