こういう長話をする所為で「丁寧語になると絶望先生っぽくなる」とか言われる罠

声優ってすげえなあ、と思った最初の経験って、小さい頃に夕方に見ていた魔神英雄伝ワタルでの、シバラク先生(西村知道さん)の電話の仕方じゃないかな。いや、もちろん当時は声優なんていうものはよくわかってなかったけど、喋ってるだけなのに面白いなんて凄いなあ、と思った覚えがある。なお西村さんは後々、パトレイバーの松井刑事役で名前を覚えた。

親父が映画好きだったもんで私もよく見ていたけど、吹き替えの大塚芳忠さんとか若本規夫さんは耳に残ってるな。当時は二人とも怖い悪役ばかりだった。石丸博也さんなんて、あの人がいなければ子どもがジャッキー映画を見て楽しむってこともなかったんじゃなかろうか。

とまあ、吹き替えが原体験だと、女性声優に関して薄くなるようで、「この人今まであまり聞いたことないけど演技上手いなあ」という経験をしないと、まず名前を覚えない。仲間内で「んまあ、この人は好きだ」と公言しているのは、沢城さんは名前は知っていたものの数年で劇的に上手くなっていたという経緯のため、例外であるものの、斎藤さんもそれに近い。

昔、ラジオか何かで聞いた覚えがあるけれど、声優は男性の方がやっぱり仕事はもらいやすいそうで(それでも大変な仕事に変わりはないのだけれど)、それはそれとしたって「どうして女性声優は印象に残りづらいのか」ってーと、大女優が出ているような洋画って、みんな劇場とかで生声で見てるから、「この女優といえばこの吹き替え!」みたいなイメージが無いんだよね。榊原さんとかは昔から今も現役バリバリだけど、いろんな役やり過ぎて、やはり該当しない。

ほんで、私、なんでか声優ブームの大当たりのときってスルーしていて(大変なときと重なってるからだとは思う)、深夜ラジオもどっちかっつーとFMで泉谷しげるさんとか中島らもさんとかの妙に力強いが言ってることはおかしいのばかり聞いていたため、今に第一線の人らに思い入れが無い。三十半ばから四十前後の人らですか。名前はわかるけれど、役柄が一致しなかったり、そういうことがある。

まあ、大人になってから本物の「そういう」人らと話すと、つくづく凄いと思います。別にオタクだからどうこうじゃなく、受験で忙しいときでも深夜にラジオの入りが悪ければ部屋をうろうろして、声が聞けるだけで満足みたいな、そういう悲喜を知ってるってのは、大層なことだと思うんですね。バンドメンバーが亡くなったときだったり、俳優が抜擢されたり、選手がチーム移転したり、そういった諸々を自分のことみたいに感じてきた人たちですよ。いやあ、その人たちが人間的に優れているかどうか、そんなことより、常に心配りできるというその一点に、尊敬したい。

しかしこれだけ長らく書いておいてなんだけど、おそらく私が俳優とか好きになった原因って間違いなく、お袋がサスペンス劇場垂れ流しの状態で私をあやしてたからだと思うんだ……おかげで25でサスペンス・刑事ドラマ暦22年だよ……。