ナレーションやって一人前、という業界だとは聞いたことがある

昨晩のNHK総合、熱中時間が凄まじかった。

チャットしながら「明日休みだし」精神でのほほーんとしていたら、ナレーションが小山力也氏だった。いや、もちろん声優の仕事といえばナレーション、吹き替えが定番、名前を聞くほどの人物ならやってもおかしくないし、小山氏は他にもよくナレーション仕事をしている。

問題はその内容である。なお、台詞などは微妙に違っている可能性がある。ご容赦願いたい。

「今夜の熱中時間は、Aさん(中略)湯煙の魔術師!」by小山力也

このAさん、50代前半のおっちゃんなのだが、山奥などの僻地で温泉の源泉を見つけては突貫作業で温泉を作ってひとっ風呂浴びるのが趣味という、温泉好きだけでなく山登り好きから見てもなかなか素敵な趣味の持ち主である。

余談だが私は昔から山をうろつく癖があり(山登りとはまた微妙に違う)、恐らくは恩師の影響である。恩師は、山を駆け抜ける姿から、天狗みたいな人だった。水芭蕉の群生地を見せてくれたり、後には山で蛍を育てたりもしている。さすがにもう御歳も御歳なので無茶はしてないと思われるが、梅雨明けにでも暑中見舞いを出そうかと思っている。

さて、Aさんである。笑顔で温泉に浸かっている写真などを紹介しながら、その為人について理解していく。

とにかく写真に写るのは、笑顔、笑顔。見ているだけでこちらも朗らかになる。気になるのは、いったいどうやって写真を撮影しているのかということなのだが……この時点でほぼオチは見えている。

さあさあ、得られた情報やこれまで探ってきた経験から、目当ての場所を見付けよう。今回は特に、今まで一つも源泉を見付けられなかった場所を重点的に探ることにした。作業に必要な荷を背負い、いざ出発。山中をずんずんと進んでいく。

「おや、何かを見つけたようだ!」by小山力也

一々力強いナレーションが入る中、いよいよそのときが!! やや本筋から下った場所に、それらしい湯煙が昇っているではないか!

そして、そこにはやはり、源泉が湧いていたのだった!

「さあ、ここからが本番だ!」by小山力也

そう、源泉にそのまま浸かったら死にます。っていうか不用意に近付くだけでもガスで危険です。湯を取水するのに適当な場所を見つけて、慎重に岩を除けていきます。ここら辺、さすがはベテラン、手際良くポイントを定めます。

大きなビニールシートを湯船代わりに、そこへお湯を溜めると、ようやくそれらしくなりました。どういうお湯の取り方をすれば適温になるかなど、ベテランでなくては判りえないことなのでしょう。

山歩きに加えてえっさほいさと作業したこともあって、ひとっ風呂は格別のご様子。笑顔のわけもわかるというものです。

おやおや? そういえば写真は?

「さあ、ここで写真撮影だ!」by小山力也

おもむろに湯船から上がり、三脚を用意し始めるAさん。冒頭での予感が確信へと変わっていきます。

カメラのタイマーをセットしたら、準備万端! 再び湯船へ!

カシャリ!

「いつもこうして一人で撮影している!」by小山力也

いや、そこは説明しないのが人情だと思うんですが、さすがNHK、余計なところで律儀です。

そして最後に、Aさんは湯船を壊し、お湯を捨て、岩を元に戻し始めます。なるほど、山では基本中の基本、余計なことはしない。

んまあ、こんな所に来て一人でお湯に浸かるのが余計なことでなくて何なのかと思いますが、許可は取っているはずなので、大丈夫でしょう。

「立つ鳥、跡を濁さず!! なのだ!!!」by小山力也

当たり前のことをしたら誉めましょう、の精神。素晴らしい。

ありがとう! 小山力也さん!!

以下、ネタ抜き。

ところでNHK総合に不満があるのだが、どうして児玉トラベルや探検ロマンなどの四十分枠の海外ロケ番組を終わらせてしまったのか。海外ロケをしない国営放送に価値なんてないんだよ。生活笑百科しか楽しみが無いじゃないか(そもそもビデオ録画以外で見られないんですが)。予算会議での会長の態度見ていても三ヵ年計画には期待できないし、ニュース番組のスタッフはどんどん流出するし、大河などで話題作りはできても総合的には衰退してると思います。折角、連続時代劇や現代ドラマを立て直したのに、またしょぼくなってきてるし……どうすんだよ。受信料払われないことの対策よりも受信料払ってる人らに応えることから始めようよ。