塔
Kが「化け物語」シリーズを貸してくれた。なかなか面白い。それはまあいいのだけれど、
何この西尾タワー。っていうか聖書の上に置く私も私だけど、イザヤ書の確認のために引っ張り出しただけの不信心者なので心は痛まない。ああ、そうそう、下の左氏伝、京都の古本屋に発注して千円で買ったものなのですが、いくら染みが函とカバーにあるとはいえ、送料までサービスしてくれました。ありがとう、彙文堂さん(宣伝)。
前に読んだことがあって手元においておきたいものを古本検索で片っ端から調べている昨今、下手に新品買うよりも金が出ていきそうなので葛藤しています。岩波文庫とか講談社文庫でええろと思わないでもないですが、無駄に上中下とかに分かれていたり注釈が後ろに固まっていて読みづらかったり、よほどコンパクトなものでないとかえって良くないんですよね。
ところでこのタワーの完成に尽力してくれたとか大げさに言ってみるもののそうでもないK君ですが、もしかしてKは良い奴なのだろうか。個人的な感謝は当然あるけれど、何か釈然としないものを覚える。
っていうかあそこまで「趣味:読書」が似合う人も珍しく、例えば私は勉強好きでも、別に読書好きではないんですよ。ましてや趣味じゃない。読書家と読書好きはまた別で、映画マニアと映画好きは違いますでしょうよ。絶倫とスケベエが違うようなもんで。
で、私が言う趣味ってのは「そいつからそれを取ったら何も残らない」ようなものを指していると思ってもらいたいんですよ。いやあ、これはKを馬鹿にしているんじゃなくて、その何も残らなさっぷりは一種の寂滅すら感じさせる、言うなれば解脱した坊さんに抱けるかどうかというレベルの素養です。
もちろん実際はKは庭師で、音楽も好きだったりするわけで、何も残らないってことはないんですが、じゃあ読書取ったら何が残るかっていわれると、やっぱり残らないんですよ。何も。組み立てられない。
じゃあそれは生き様であるのか、っつーと、そんな大層さはまったくなく、彼は読むだけでうっかり私が「それどんなん?」って聞こうものなら「本」と答えるのです。本当。
それにしても「斎藤千和好きだろ?」っていう会話からこういうことになるとはなあ……。
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