東方二次小説『八雲考』(著・俄雨)、委託に寄せて

めでたくメロンブックスにて委託となりました故、紹介を前提として、読み解いたものを掲載します。なお、俄雨氏からは許可をいただいております。

八雲考。――最後の最後まで、子は子だという、達観が、見られる。それは親と子、あるいは子と子の対話であって、神や妖怪は、理不尽ではなくなっている。古事記の描写の時点で、子と親を描いた以上は、話は規定されている。

しかし、それは作者が一つの存在として八雲紫を見たからのようで、彼女から魅力を奪うことによって、描いていた。彼女の妖怪としての魅力は、八雲藍を通して、過去のものとなる。

この作品に出てくる彼女らは、それぞれの繋がりによってのみ魅力を発揮するように、仕立てられた、孤独な存在となっている。にも関わらず、彼女らが彼女らに認めるのは、瞬間瞬間の対話であって、表現にも顕著に現れている。彼女らには彼女らに対して先入観が無く、あったとしても破壊され、作者の考える対話によって、再構成していくことになる。